哀しき因果応報ね、と私は笑った。
 悲しいはずなのに笑いが止まらない。
 すでに狂いはじめていた私には、もう自分をとめる術すらなかった。
 指先がナイフを手繰り寄せると、私は自らナイフを自分の胸元に押し沈めた。
 かつて、私を手に掛けた彼が、その後そうしたように。

「今度は…貴方がまた私を殺めるわ。“恨みの枷”を持っていってしまったから。
…歴史は繰り返される…でも、それも良いのかもしれない…わ。
それがあるから…、私はまた、貴方に会える…もの」
 その言葉を皮切りに、私の口から大量に血が吹き出される。
 命が…流れていく。
 次第にかすむ視界の先を見つめ、私は底なしの闇へ落ちていった。
 その言葉を、かすかに呟いて。

「さようなら……また来世で会いましょう……」



End.