話し合いの結果、平田と目黒さんと私の3人で、オード卵の家の番をすることになった。

頼りないメンバーだが、沼袋部長は夜に予定が入っていたし、真帆は平田と泊まることに抵抗があるらしかった。

私たち3人とオード卵は、大学から、オード卵の家に向かって歩き始めた。

オード卵は、腰に縄を巻かれている。

縄の先は平田が持っているが、暗いので、遠目では、オード卵がつながれていることはわからなさそうだ。


「沼袋部長の夜の予定、何だと思います?」

平田が言う。


「水商売の世界に足を踏み入れた知人を説得しに行くらしいです」

目黒さんが答えた。


「それって、キャバ嬢と遊びに行くっていうこと?」

私が言うと、目黒さんは、ロバートデニーロが困った時にするような表情と仕草をした。


婆のゴミ屋敷の前を通りかかった時、異変に気付いた。


男がゴミ屋敷の庭のゴミ山の影でしゃがんでいるのだ。

ししゃもさんやひじきさんではない。


もっと小柄で若い男だ。


「みんな。あの人見て」

私は言った。


「ミチコさん、なんですか」


「怪しくない?」


「怪しいですね」


「泥棒!?」

目黒さんが言う。


「ミチコさん、奴が手に持ってるもの、見てください」