「不幸って?」


「怪我したり、行方不明になったりさ」


「行方不明って、もしかして……」


「あ。いけない。ばれちゃったかな」


「ウルフさん……?」


「しまったな。内緒にしといてね」


「ミミさんがウルフさんを好きだったの?」


「一時付き合ってたね。すぐに別れたけど」


「わあ。知らなかった。そうだったんだ」


「それに、昔だけど、ミミと良い感じだった男がいてさ、それも不幸だったな」


「どんな?」


「もともと、ちょっとキモかったんだけど、いじめにあって大学やめたよ」


それは不幸だ。



「男をとっかえひっかえの売女め」

低い声で目黒さんが言った。



平田と橋本ミミがキスをしたことをよっぽど根に持っているみたいだ。



「まぁまぁまぁ。目黒ちゃん、たこ焼きでも食べて落ち着こうよ」


橋本ミミが言う。



いつの間にか、テーブルの上に、タコ焼き機が乗っている。


「フン!」


目黒さんは馬鹿にしたように言った。


山嵐ノゾミは気にせず、たこ焼きを焼き始めた。