「なんで泣くんだよ…!」

「なんでもないっ!」

ただ…

すごく悲しくなって…

一番解ってほしい人に解ってもらえない悔しさと…

このつらい状況に

心も体もついてけなくなっちゃっただけなんだ。

「俺さ、今日の試合…頑張るから。お前に泣かれたらさ…」

「あたしに泣かれたら何…?」

「なんでもねーよ!」

翔は顔を赤くしてあたしを抱きしめた。

ちょ…

翔がいつもと違う…

「俺が勝ったらなんか言うこと聞けよ?」

「うん…」

あたしも抱きしめ返した。