「もう一回、絵美と話してみてよ。」
あたしは目をそらした。
これ以上翔を見てたくない。
こんな中途半端な男だって
あたしは愛してしまいそうだから…
手を差し伸べてしまいそうだから…。
ずっと下を向いていた。
花火の音だけが鳴り響いていた。
「俺を見ろよ。」
やだ…
見たくない
「…見ろよ。」
あたしは顔を上げられない。
翔はあたしの腕をつかんだ。
「離してよ…」
あたしは言った。
腕の力がどんどん強くなる。
「俺を見ろよ…」
翔の顔が近づいてくる。
「離し...て.....よ...」
「目とじてよ」
翔の顔が迫ってくる。
もうだめだ