「ところでさ。例の件どうした?」

「例の件?」

俺は、ノートに落としていた視線を再び上げた。

二人して眉を下げ心配そうな顔をしている。

「マスコミが騒いでいた女優の事」

「・・・」

時間が経てば自然消滅していくかと思っていたのに、この間の電話の一件でそうはいかないとは感じていたが。

あえて自分から行動は起こしていない。

また電話がきたら直接会って話をしなくてはいけないんじゃないかとは思っているんだけど。

「彼女と一緒に居る時電話がきたんだ。誰かから俺の番号を聞いたらしい」

「それで?」

「俺の事を昔から知ってる口調だった。俺と面識があるらしい」