「――――――――姉貴?」


視線に気づいたのか、ふと彼方が不思議そうに私を見る。
あわてて目を逸らして、「なんでもないよっ」と笑う。




―――――――姉貴、かあ…。
すぐに戻っちゃって、軽くショックを受ける。



ほんのちょっとの事で舞い上がってしまう自分が、やけに恥ずかしく感じる。



さっき、”奈々”って呼んだ時に、
いままでの事がなかったかのように、また”奈々”って呼んでくれるような気がした。



たぶんそれは…
そうあってほしいと強く願っているからだ。



こんなにも、彼方の事を想っているの―?



仮にも私は、
利翔の彼女なのになあ…。