「じゃあ…ばいばい」 由実夏がさみしそうに呟く。 キュッと胸が締め付けられて、由実夏を可愛いと思う自分がいる。 「…おう。またな」 そう告げて、自転車にまたがる。 サァァ…と風を切る。 頬を撫で通り過ぎてゆく、夏の終わりの風。 前方に見える、白くてお洒落なマンション。 あそこに……奈々はいる。 俺の――姉ちゃんは居る。