ドキドキという胸を押さえながら、ゆっくり足を進める。
由実夏の案内に従いながら、由実夏の家まで送って行く。
いつもと違う道に進んだ時、
いつもと違う道に、隣の人に、戸惑いを隠せなかった。
ドキドキするんだ。
俺の知らない場所を、由実夏は知っている。
奈々とともに居たあの世界。あの場所。
見慣れた景色。
そこを抜け出して、由実夏のいる世界をのぞいた。
きっと、これからも…。
由実夏は俺に、俺の知らないいろんな事を見させて、感じさせてくれるだろう…。
奈々の居ない世界が、
不安で、落ち着かない。
…でも、それだけじゃないんだ。
新鮮なんだ。
全部が……。
それに――奈々が居なくても、由実夏が居る。