奈々が利翔とともに教室を出て行くのを見た――……。 もう 願いが叶う事は無いのだと悟った。 ただ、一喝してくれれば…怒ってくれれば、それだけで良かった。 なのに………。 なんの動揺も見せずに、さっさと利翔と帰ってしまった。 俺のことなんかどうでもよかったんだ。 いままで一緒に居たのも、全部、俺が”弟”だからで――……。 奈々の事を考えずにいられないんだ。 由実夏がいるってわかってても……。 俺は、答えにつまった。