ゆっくり、ゆっくり―…由実夏に合わせながら足を進める。

自転車は押して歩くことにしたのは、
この後ろの荷台は奈々の特等席と、勝手に決めているから…。



ふと、つないだ手にギュっと力が加わる。
どうした?と由実夏を見ると、俯いて唇を結んでいる。



「…………ね、彼方くん…」
ふと、小さくそう呟いた。


「…ん?」


「………………いま、誰の事考えてる?」



ドキンと心臓が高鳴った――。