「でね、話があるの」
由実夏が言った。

正直、めんどくさかった。
奈々と利翔のことで頭がいっぱいで、それどころじゃない。




教室の一番後ろの窓側の席の前。
つまり、俺の席の前。

―糸田の席に、由実夏が座った。
(糸田は幹本の所にいる)

今までは、俺の机に手をのせて床にしゃがむようにして話していたが、つかれたのかな―?と、ふと考えた。



あっち系の話だ。
しかも、同じクラスである利翔と奈々の話。

ギャーギャーとうるさい教室の中でも、小声で話していた。



その声を、さらに小さくする。
何の話だろう?と、少しだけ気になった。