「あぁ、廊下ですれ違ったクラスの女子が、
『梨恵と富田君、今頃キスでもしてるかなぁ』
なんて話してるのを偶然聞いてな。
さすがに焦ったよ」


言いながら熊君は頭をかく。


「だけど、オレの思ったとおり、お前は梨恵を振った」


悪びれる様子もなく熊君は言った。