みんな、優しい。


その優しさに精一杯応えようと、もう一度笑顔を見せる。


「大丈夫、ありがとう」


そう言うと、ふたりも一緒に笑顔を見せてくれた。





だから余計に、自分が惨(みじ)めだった。

情けなくて、ちっぽけで、どうしようもない。





大庭君は何も言わずただ教室のあちらこちらを眺めている。

霧崎君は黙って机に腰掛け、携帯電話を握りしめていた。


 


この先、私たちはどうなるのだろう。


閉じ込められて、時間は繰り返されて。


そんなの物語の世界だけだと思っていたのに。