「そんな驚かないでよ。だってさ、弥八子ってすっごい聞き上手だしさ。女の子らしくて可愛いし、なんていうかほら、品があるっていうか……んー、とにかくほんわかしてて優しいの」
まさかの答えに、ますます頬が熱くなった。
だって私は憧れられるような存在じゃない。
ただみんなから外れないように、でも主張しないように生きてきただけ。
そんな中途半端で情けない私なのに、そんな風に思ってもらえるなんて申し訳ない。
「で、でも……」
「でもって言わないの。いいじゃん、あたしは好きなの。化粧と男に必死でガサツな子より、大人しいけど気配りができる弥八子が好き」
「ガサツなのはお前だろ」
「何、なんか言った皐次郎!?」
じゃあどうしたらいいんだろう。
そう思ってそわそわしていたら、まるで代わりのように青野君が突っ込みをしてくれた。
やはりふたりは息が合っているようで、一気に空気が和んでゆく。
「そうか……では違うのだな」
そんな中大庭君はひとりごとのようにそう言う。
何かを気にしてるのだろうか、顎に手を当てて首を捻っていた。
「そういう繋がりはないってことだな」
彼の考えに気がついたのか、霧崎君が呟く。
大庭君も「そうだな」とだけ答えて、持っていた日本茶を飲んでいた。