そんな私をみて日下さんは「涙は心のデトックスだー」と言いながら微笑んでくれた。

私もいつか彼女みたいに思えるのだろうか。





死んでなければ――





「ついでに告白しちゃえば、あたしつい一昨日フラれたんだよねー」


屋上から落ちてゆく、そして地面に叩きつけられた感触を思い出し、一瞬びくりと身体が跳ねた。

慌てて涙を拭いながら、何もなかったかのように日下さんに視線を移す。


「しかも三股だよ……遊び人だとは思ってたけど。ほんとやるせなくてさ」


しかし彼女はそんな私に気づいた様子はなく、クリームパン片手に溜め息をついていた。

「弥八子なんかとはわけが違うけど……もし理由があってここにいるのなら、あたしの理由はそれかもしれない」

「くだらないな」



ぼそっと言った彼女に対して。

真っ先に答えたのは大庭君だった。