「それに……私ちょっと霧崎君と話してみたいな、って思ってたから」

続けた告白には霧崎君以外の視線が向かってきた。


「たぶん、憧れみたいなのがあったの。霧崎君、他に流されることがなくて『自分』を持ってて。私なんていつもふわふわしてるから」



不思議と恥ずかしいとか言いにくい気持ちはなかった。

どうしてだろう、あんまり考えてなかったことが、ちょっと口に出しただけで次々生まれてくる。


そして口に出すと、なんだか気持ちが落ち着いてくる。



「それでここにいる、と?」

大庭君の問いには「どうだろう」としか答えられなかったけれど。

もし死ぬ前にそんな願いを叶えて欲しいと思っていたのなら。


今これは叶った状態なんだろうか。



「僕には霧崎自身にも理由があると思えて仕方がないんだが」

それでも大庭君は追及をやめなかった。

確かにあるのかもしれない、だけどそれを問いただすことがそんなに重要だろうか。

ここから脱出したいという気持ちはわかる。

でもそのためにそれは必要なことなのだろうか。