悲しいのか、悔しいのか。

涙が一粒、スカートに染みを作った。


それと同時に。


背中の方から、何かが激しくぶつかる大きな音が響いた。


驚いて後ろを振り返る、みんなも同じタイミングで息を飲んだのがわかった。

霧崎君が座ったまま机を蹴っていた。

その机は前方の椅子に当たり、さらにその机を押し、斜めになっている。


そして寝ていたと思っていた彼の顔が、少し傾いてこちらを向いていた。

いつも冷静に見えた瞳は、強い何かがこもっていた。


「ふざけるな」


だからだろうか、彼の言葉も声も低くてお腹の底に響いてくるような重みがある。


「例え乾が原因だとしても、引き金になったとしても、責めるべきことじゃない。お前ら乾が望んでこうしたと思ってるのか? 第一もし乾ひとりに原因があるなら、なんで俺たちが一緒なのか疑問に思わないのか?」


彼の瞳は真っ直ぐで。

でも私を見ているわけではない、大庭君でも青野君でも日下さんでもない。


まるで私たちの中に渦巻く弱い気持ちを見ているみたい。