一気に緊張感が抜けて階段に座り込んだ

コツコツと足音が聞こえた
誰がわかったから顔を上げなかった


「一弥、帰るか?」

「ああ」


司は何も聞かなかった
黙って前を歩く


司の心遣いが嬉しかった


何か聞かれたら溢れる気持ちを抑えられない


百合華が誰かわかった嬉しさ


百合華が負った恐怖それを助けられなかった悔しさ


抱きしめた温かさが一瞬にして消えた寂しさ…