俺の腕の中で震えている百合華


落ち着かせようと外に出て頭を撫でながら何度も大丈夫と囁いた


怒りでどうにかなりそうだった
このまま連れて帰りたかった


そんな思いも叶わなかった


階段の上から‘百合華’と叫ぶ声


その人を俺は知っていた


紀村財閥の紀村勇太だった