力強く引かれた自分の腕を守るようにわたしは言った。


「今日は無理」


「なんでだよ」


「無理だから、無理」


「理由を言えよ」


「……」


理由を言いたくない、と思った。


反対に理由を言いたい気持ちもあった。


「理由無いなら、無理やりでも連れていくぞ」


「彩香を待ってるから」


わたしは『理由』を言いながら、大野の顔を見る。


「彩香……今日、水泳部行ってんだろ?」


「今日早く終わるんだって。だから終わるの待ってるの」