「Tシャツ?」


真剣な調子でそう言って、大野はわたしの肩を掴んだまま自分のTシャツを見た。


「あぁッ?」


大野のTシャツに、わたしの色つきリップの「紅い色」がくっきりとついていた。


「ご、ごめんね?……汚しちゃって……」


わたしは謝りながら大野のTシャツについたリップクリームの色を落とそうと、大野のTシャツを擦った。


「……びっくりした」


吹き出しながらそう言う大野に驚いて、大野の顔を見上げた時


また大野に抱きしめられた。