周りの音は聞こえない


トクントクンとリズムよく耳に届くのは、大野の胸の音


愛しくて


大野のTシャツをそっと掴んで


そのぬくもりを確かめるように


顔を擦るように埋めた


こんなに


幸せでいいのかな


大野





どんな顔してる?


何を思ってる?


わたしと同じだったら
嬉しいな


大野の顔が見たくて


大野のTシャツから顔をあげた時


ふと目に移った紅い色にわたしは慌てた




「大野……あの……」


「うるせ」


「でも」


「離さない」