考えるよりも早く


唇から溢れた想いに


自分でも驚いてしまって


わたしは腕を引き寄せられたことにも気付かないで


突然


目の前が真っ暗になって


何がなんだかわからなくて


気付いたら大野の腕の中のわたし


わたしの背中を包む、大野の逞しい腕


広い胸から聞こえる早い鼓動



切なくて


苦しくて


でも


暖かくて


気が遠くなりそう





「……マジで?」


低く響く大野の声が近い



大野の声ってこんなに心地よかったっけ……?


そんなことを思いながら、大野の腕の中で小さく頷いた


大切そうにわたしを抱きしめる大野の腕に、ぎゅっと力がこもる