「羨ましかったのは、わたしの方だよ?」


わたしは色とりどりの水着を目の前に、小さく呟いた。


「……美咲はスゴイいい子だから、絶対幸せになれると思う。だから……」


彩香はわたしを見つめて言った。


「今度は『斎藤くん』をわたしにちょうだい?」


彩香が真っ直ぐにわたしを見た。


「彩香、彩香は……」


「これ、試着してみるね」


わたしの言葉を遮り、彩香は白い水着を選んで試着室のカーテンを掴んだ。


そして、


「……その紅いリップ、美咲にすごく似合ってる」


そう言ってカーテンの中に消えて行った。