「結局、『彼女』になっても何も変わらなかったけど」
「彩香……」
溢れ出る言葉を飲み込んで、わたしは彩香を見た。
白い水着を持ったまま、彩香は淡い黄色の水着を手に取り、また体に充てた。
「……わたしね、真治の好きな人って美咲だと思ってたって言ったでしょ?」
涙を止めないまま、わたしは彩香を見た。
「だから……真治を美咲に取られたくなくて、美咲に自分が『名前だけの彼女』って言いたくなかったの」
「……どうして?」
「わたし、美咲のことずっと羨ましかったんだ」
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