「本当はね、最初から『名前だけの彼女』だったんだ」


「名前だけ……?」


「うん。美咲にわたしからの手紙を真治に渡して貰ったでしょ?
あの日もね、実は後から呼び出されて『好きな人がいるから』って断られてたんだけどね」


「……」


「真治さ、その好きな人に振られたらしくて、でもその人を『忘れられない』んだって言って。
それで、『わたしも同じで、真治に振られても忘れられない。少しの間だけでも『彼女』にしてくれたら忘れるから』、って無理矢理彼女にして貰ったの」