『斎藤くん、喜ぶね……』


彩香のあの声が頭から離れない。


一人、机に突っ伏して想いを巡らせる。


彩香……


斎藤くんが好きなの?


わたし


間違ってる?


わたし


どうすればよかった?


何を言えばよかった?


わからない


わからないよ


気持ちを隠したままじゃ


部屋の窓の外にはいつの間にかどんよりとした雲が広まっていて。


自分の気持ちも


友達の気持ちも


見えないから


ただ


今は


せつない