大野がケガしたことをわたしは彩香に伝える。


『部室の棚が倒れてその下敷きになった』


と、わたしは彩香に言う。


大野とキスしたことも


大野に拒絶されたことも


言える筈がない


原因を隠し


都合のいい結果を口にする


汚いことも


ズルイ気持ちも


恥ずかしい考えも


全てに目を反らして


何事もなかったかのように


明るい明日を願うわたしがいた