帰り道を一人歩くと、携帯電話の着信音。


『着信 彩香』の表示にドキリと心臓を一跳ねさせた。


「もしもし?」


「あ、美咲?さっきはごめんね……」


「ううん……」


気まずい空気が流れ、ごまかすように口を開いたのは彩香が先だった。


「今日水泳部行ってて……プールに入ってたから電話出られなかったんだ」


彩香……


どうして……?


『どうして、そんな嘘をつくの?』


喉まで出かかった言葉をわたしは飲み込む。


わたしが彩香のことを責められる筈がない。


「美咲?」


「……あのね?」