渡り廊下の反対側の校庭から下駄箱を抜けて校門に出る。


わたしは息をひとつついて、携帯電話から『彩香』を呼んだ。


呼び出し音が鳴り響き、しばらくしてカチャリと通話に切り替わる。


『ただいま電話に出ることが出来ません……』


冷たい機械音が流れて、わたしは呆然としたまま電話を切った。


頬を伝うのは、複雑な想い。


『何故』?


そう問い掛けることさえ意味もないような


解けるはずもない


幾重にも絡み合った気持ちだった