「桃ちゃん、今日は本当にありがとう……」


「美咲先輩……大丈夫、ですか?」


わたしは桃ちゃんに向かって微笑みながら頷き、


「今日は……帰るね」


そう小さく言った。


心配そうにわたしを見る桃ちゃんに背を向けて、わたしは走り出した。


体育館の渡り廊下を校庭へと抜けて、プールへと向かう。


プールサイドが見える柵に飛び付いて、練習中の水泳部から彩香の姿を探す。


……彩香……いない……。


今日は水泳部に出ていないのかな……?