「……大野キャプテン、病院に誰か着いて行ったほうが……」


桃ちゃんが大野に言う。


「……いいから、練習してろ」


「でも……」


「大丈夫だ」


大野はそう言うと一人、歩き出す。





「美咲先輩……」


大野の後ろ姿を黙って見つめるわたしに、桃ちゃんが声をかける。


「……大野キャプテンと何か、あったんですか?」


「……何もないよ……」


そう


わたしたちの間には、何もない


何もないから……


こんなに悲しいんだ