「なんか隣町の自動販売機が壊されていたらしいね」
恵美がそう言った。
それは休み時間の他愛もない会話のひとつだった。
「へぇ……」
なんかデジャヴ。
私は、とくに気にしなかった。
たまたま。
偶然なんだと。
そんなこと、気にしてはいられない。
と、思っているということはつまり、
その時点で、関連付けて考える程度には気にしていた。
私は続ける。
「誰がやったんだろうね」
「アホは、宇宙人って騒いでた」
アホ。
またの名を、
森永製也。
『あなたの心のチンギス・ハン』とも言う。
恵美にフラれること、かれこれ12回。
それでも、恵美とはなんだかんだで仲がいい。
変な関係だ。