母さんが二階へ上がって来た。




「黙って上がって来ないでよ。」




あれだけ言ったのに。



「同じ家の中に住んでるんだし、今まで奈都と二人でのんびりした事なかったしね。赤ちゃんが生まれたらこんな事してられないよ。」



「洗濯終わったらお茶しようか。アップルパイ作ったから食べてみてよ。」




母さんは掃除洗濯は苦手だけど、料理とかお菓子作りは得意。



母さんのアプルパイをいつ食べたのか、思い出せない。



「母さんのアップルパイ食べるの何年ぶりだろ。」



そうだ。



「私にもアップルパイの作り方教えてね。」




前から思っていたんだよね。



「奈都は何でも器用にこなせるから大丈夫だよ。奈都くれぐれも頑張り過ぎないように。なんでもほどほどにするんだよ。」




分かってる、琢哉さんにも言われた。




一人で頑張り過ぎないようにしようと思ってる。




琢哉さんと約束した事は必ず守るつもり。




頑固で我慢強い女は、可愛いげがないと母さんに言われた。



どうせ、可愛くないですよ。