母さんもかなり動揺していて。


強く握りしめた手が震えていた。


「どうして、南が奈都の前に現れたの。 」


私も本当に驚いたし。


「琢哉さんが勤めてる会社が、南さんのお父さんの会社だった。南さんが琢哉さんを好きで、再婚を迫ってるの。」


母さんが難しい顔をした。


「琢哉さんに南の事話したの。」


まだ、話せないでいる。


「話してない、あの日記も見せてないよ。」


母さんが立ち上がった。


「何で止めないのよ。阿紀を苦しめたあの女が琢磨の母親になるなんて、私は許さない。」


病室で出ていこうとする母さんを、必死に止めた。


「母さん落ち着いて、南さんの結婚断ったら、琢哉さんは会社辞めないといけないの。」


本当に短気なんだから。


私の話を聞いて。


「琢哉さんが会社辞めなくてもいい方法を考えた。私たちに任せて。南の好きなようには絶対させない。」


絶対思い通りにさせない。


お姉ちゃんにあんな思いをさせた南を許す訳にはいかないから。


南が琢磨を可愛がるはずがない。


虐待するに決まってる。


どんな事をしても琢磨を守らなきゃ。


お姉ちゃん力を貸して下さい。