お母さまは、ゆっくりと部屋を後にした。
部屋にいるのは、あたしと、翼と、そして柚縷ちゃん。
初めての組み合わせ。
「柚縷、少しカーテン閉めるよ?」
「うん」
半分閉めたカーテンのおかげで、ハッキリと顔が見えた。
久しぶりに見たその顔は、前より大人っぽくなっていて、案外カッコいい。
その姿に見入ってしまう。
「久しぶり」
「……あ、久しぶり」
まるでまったく知らない男の子と話しているみたい。
あの頃はまだまだ子供で、賑やかで、大人しさなんてそんなになかった。
めいっぱい遊んで、お菓子買って公園で食べたり、走って、転んで、笑い合った。
そんな柚縷ちゃんが、いつの間にか大人になっていて。