かちゃ、かちゃかちゃ…
「千茶先輩、す、すみません。」
「いえ、慣れてるから、大丈夫。」
空牙先輩と案内役をしてくれる(させられる)子は、床に広がった破片という凶器を拾い集めている。
そう、この物凄い音を立てながら出てきた少女は、私たち二人を出迎えるために高価そうな花瓶を一つ、無駄にしたのだ。
そして、
「何故私まで…」
桜花もその片づけを手伝っているという始末。
初対面なのに。
名前すら、知らないのに。
「す、すみませんっ、気をつけてはいたんですが、ちょっと、失敗を…」
桜花のどす黒いオーラにびびりまくる少女。
「…いえ、別にいいんです。
助け合うって、大切ですよね?」
「ありがとうございますっ」
ぱぁっと音さえ聞こえてきそうな笑顔を咲かせた少女だが、
桜花の引きつる笑顔には気付きそうにない。