「案内してもらう人今呼ぶからちょっと待ってて。」
と言われて待つ桜花。
その間義影さんの隣で事務処理をしていたところへ誰かが入ってきた。
「失礼します」
それは、男の声。
そして、桜花の聞いたことがある声に似ていた。
知っているのはもっと幼く、柔らかだったが。
「あぁ、意外に早かったね。
___こちらは紅光 桜花さん。
君を主席から蹴落としちゃった子。」
「そうなんですか。」
桜花は試験など全く受けていないのだが、既に最先端のことまで習っているので主席になるのは見えていたのだろう。
「私、主席だったんですか。
初めて知りました。」
ここは義影さんに合わせてにこやかに言った。
「そうなんだよ。だから君は一人部屋だ。
___こちらは志賀 雫くん。
此処の、生徒会長を務めてくれてるんだ。」
「志賀、…雫?」
懐かしい名前に桜花の瞳に動揺が走っる。
『志賀 雫』
それは、過去の桜花、『美耀 さくら』の幼馴染。
つまりは、『紅光 桜花』にとっての"元"幼馴染____。
桜花は振り返り、残っている面影に若干懐かしさを感じつつ、その人の褪めた瞳を見て、その人の冷たい雰囲気を感じて、
桜花は思った。
『これは、「志賀 雫」じゃない』
と____。