「騙されたらどうなるんだ?」
「まあ、ボク共々消されるでしょうね?」
俺は何も言えなかった。
あいつの言ってる事が本当であって欲しいと願うしかなかった。
「でも、そいつに一回会う必要があるね。」
「会うって言ったってそいつは日菜の中にいるんだよ?」
「そこが問題なのよ。会うのが一番なんだけど出て来てくれない事にはね。」
俺とミエルは考え込んだ。
「そう言えば、日菜は退院したんだよね?」
「ああ、看護士さんが言うんだから間違いないだろう?どうかしたのか?」
「いや、急に退院って言うのも変だなと思って。」
「変?」
「だって、お兄ちゃんもそうだと思うけど、先生は退院の2日前には言うものじゃない?でも、日菜はそんな素振りを見せなかったでしょ?」
「別れるのが寂しかったんじゃないのか?」
「そう言うものかな?ボクには良く分からないけど。」
そんな事を話していたら担当の先生が来た。
「日向さん、体調はいかがですか?」
「はい、大丈夫です。あの、一つ聞いても良いですか?」
「何でしょう?」
「北本日菜の事なのですが、退院告知はしたんですか?」
先生は顔を曇らせて言った。
「それが急に退院しても大丈夫と言って自主的に退院したんだけど、その時の表情がいつもの北本さんと違った様子だった気がして、心配してるんだよ。それがどうかしたのかい?」