―――ギイッ…

相変わらず埃臭い部屋の扉を開けると、小さな窓を背にして長澤が立っていた。

今日は、昨日の天気が嘘のような晴天。
電気をつけなくても歩けるくらいに日光が差し込んでいた。


「やぁ。来ないんじゃないかと思ってたよ」

「…そんな訳ないじゃないですか。あんな風に脅されたら」

長澤は私を鼻で笑い、二人の距離を縮めるべく前に進む。

距離が縮まる度に、思わず身構えてしまう。

「早百合、きれいになったな。…男いるのか?」

「そんなこと関係ないでしょう?なにが目的なんですか?」

「また俺の女になれよ。いい思いさせてやるからさ」


――なに、言ってるの?
誰のせいで恋愛を拒否するようになったと思ってるの?

今にも逃げてしまいたい気持ちだったが、麻里奈の顔がよぎる。

睨みつけると、長澤はいきなり私の頬を叩いた。

「ふざけんな!お前はおれのおもちゃだ!拒否権なんてねぇんだよ!」

―――狂ってる。