その言葉に動揺を隠せない俺を余所に、雪乃は言葉を続ける。無表情な瞳に、苦しげな笑みを張り付けながら。


「前にも言った通り、確かに風春との一ヶ月は楽しかったし、風春とつき合えてよかった。でもね…?」


雪乃はそこでいったん言葉を区切り、白い雲が流れる空に視線を移した。
そしてゆっくりと視線を俺に戻す。


「私、風春のこと好きにはなれない、っていうかならない。今だから言うけどホントはさ、風春みたいな性格、大嫌いなんだよね。」


無表情かつ冷たい瞳。
雪乃のこんな顔、今まで見たことなくて。それだけ俺に嫌悪感を抱いていたなんて、知らなかった。っていうか、知りたくもなかった。…信じたく、なかった。


「…だからもう、私のことなんて忘れて。私のことを好きなんて言わないで。」


ぎゅっと締め付けられる胸に、ドクンと心が悲鳴を上げた。