居心地の悪い、イヤな沈黙が広がる。
校門からは、ちらほら登校してくる生徒の声がやけに大きく響いてきた。

数分前、誰がこんな状況を予想した?

『契約』なんて取っ払って、真正面から向き合えると思っていたはずだったのに…。


「雪乃、俺は…」

「ねぇ、風春。」


沈黙を破るように雪乃にかけた言葉は、他でもない雪乃によって遮られた。
俯いていた顔を上げ、ぼんやりと俺を見つめる瞳に、思わず言葉が詰まる。でも。しかたなく傾けた耳に届いたのは、


「私たちの恋は所詮、『契約』に基づいた軽い恋愛ゲームだったんだよ。だから私は風春に対して気持ちなんてない。
風春の私に対しての気持ちもきっと、1ヶ月間一緒にいたせいで、情が移っちゃっただけだよ。」


哀しく、残酷な言葉。