少し歩いた所に、少し大きな家が見えてきた。
ココが來夢の家。
懐かしいなぁ…1年ぶりに翔と2人だ…。

「部屋行ってて!場所わ変わってないから」
「おう」
言われるままに部屋へ行った。二階への階段を上り廊下を歩いた突き当りの部屋だ。
…何も変わってない來夢の部屋。窓を見ると、外から夕日が差していた。
もうこんな時間か。そっか…時間ってたつに早いんだな。
「翔?今どこ?」
「っお前の部屋」
「ハ~イ」
自分で、部屋行ってて!とか言ったくせに忘れてんじゃねーよ。そんな所も変わってないな。…醜いぐらい変わってない。

「ゴメン、翔。ハイ、うちの家のお茶。久しぶりに飲むでしょ?」
「かな?でも、うん。そうだね」
まるで独り言のように話す翔。そんな所も変わってない。何か夢見てる感じの話し方。好きだったなぁ。昔わ…。
「翔、変わって無いね」
「來夢も」
2人でズット笑合った。日がくれるまで來夢の家で話した。

「じゃぁソロソロ帰る」
「もう?」
「もうって、3時間くらい話してんぞ?」
「ぇ~もう?良いや。送ってくね」
翔との会話は面白い。だからもっと側にいたい。ずっと笑っていたいから。貴方の側で…。その笑顔の隣で…。
「良いよ。もう暗いし。危ないだろ?」
「ぇ…でも…。」
「良いから。」
「うん。またね」

翔を玄関まで見追った後、私わ携帯の履歴をチェックした。
合コンの誘いとか、デートの約束とか…入ってるから。
この裏の世界の來夢を知ってるのは綾だけ。綾が最初に合コンに誘ってくれた日から、私わ彼氏を何人も作ったり、合コンに何度も行くようになった。
…綾にわお礼を言わなきゃね。

「…一件も無い…。ムナシー」
その時、携帯の着信音が鳴り響いた。…8時30分かぁ。

「もしもし、來夢だけど」
『ぁ…來夢?綾だけど』
「合コン?デート??」
『合コン。興味なし?駅前9時集合なんだけど』
「分った。行くから」
『うん。じゃぁ待ってる。9時ね遅刻しないでよ?』
「OK!」

…合コン?興味無しだけど…まぁいっか。好きな物買ってもらえるし…。
「……9時って言ったら、山吹とデート入ってたなぁ」
河本山吹。來夢の1つ上のお兄ちゃん。