「あ、あのっ、そんな・・・自分を責めないでください!志田さんも雪村さんを思ってのことだったんですし・・・」

「でも、当分俺たちは樹と顔を合わせることができないと思います。過去の自分を知る人間を、退けようとしてましたから・・・」

「そうですね」


だから私が担当になったんだけど・・・あ、そうだ。


「これから私が雪村さんを担当することになりましたので・・・よろしくお願いします」


私がそう言うと、志田さんはやわらかく微笑んで肩を撫で下ろした。



「樹の担当が佐々木さんで安心しました」

「そんな・・・」


「本当ですよ。俺たちも佐々木さんには随分お世話になったし・・・佐々木さんなら安心です」



私は少しばかり心が温かくなったような気がした。

この人たちは、私を頼りにしてくれている。



「雪村さんに面会したい場合は裏口から入ってナースステーションには行かずにこちらに来てください。雪村さんの隣の部屋に私がいますので、その旨をお伝えくださいね」

「分かりました。皆にも言っておきます」


じゃぁ、今日は帰ります、志田さんはそう言って一礼し、裏口の方向に去っていった。