私がつきそいの男性を待合室に案内している時、後ろから相当数の足音が聞こえた。




「恭平っ!!」




大きな叫び声だった。それが私たちの耳に届いた瞬間、男性はハッと声の方向を振り返った。


「皆・・・」

「樹は!?どうなってんの!??」


4人の男の人が私の隣の男性に駆け寄る。

男性はまだ涙が乾かない顔で何かを喋ろうとしたが、それは声になることなく嗚咽を漏らした。



「患者さんは今CTスキャンを受けています。結果が出るまで後40分ほどかかりますので、待合室でお待ち下さい」

男の人は喋れそうに無いので私が説明しておく。


「はい、わかりました」

後ろにいた男の人が言った。

金髪で整った顔立ちをしているその人は、5人の中で一番冷静に見えた。


「・・・ホラ、恭平・・・泣くなよ・・・」

さっき大声で叫んだ人が長身の男性の肩を抱いた。

その人は小柄だったので、その格好は随分アンバランスに見えた。

長身の男の人を慰める小柄な男性は大きな目でかなり可愛い人だと思う。



いや、その人だけじゃなくて・・・



運ばれてきた患者さんも、長身の人も金髪の人も小柄な人も、4人ともビックリするぐらい素敵な人に見えた。

服装も奇抜というか、おしゃれでカッコイイ。



そういえば患者さん、ライブをしていて転落したんだっけ。

だったらきっとこの人たちはインディーズかプロのミュージシャンなのだろう。

そして先ほどからしきりに電話をしているTシャツを着た二人の男の人はスタッフにちがいない。

スタッフさんのTシャツのバックプリントに『SHANGRI-LA』と書いてあるのが見えた。

「ご案内いたします」

私は彼らを待合室に案内した。