突然ナースステーションの電話が鳴り響いた。

私よりも電話の近くにいた、一緒に夜勤をしている鈴木さんが電話を取った。

「はい・・・はい、患者さんの容態は・・・はい、緊急手配します」

鈴木さんは電話を置いて振り返った。

「ホールでライブをしていた男性がステージから転落して意識不明ですって!すぐに準備しなきゃ!」

「はい!」

私は走って先生を呼びに行った。



----
---
--



私と鈴木さんら看護師数人が病院の入口で待機して間もなく救急車は到着した。

ストレッチャーに横たわった患者さんが救急車から降ろされる。




「嘘っ・・・」

鈴木さんは患者さんの顔を見て一瞬固まった。

「え?」

私はその言葉の意味がわからず鈴木さんを見た、しかしそんな状況ではない。

鈴木さんはすぐに我に返って他の看護師とストレッチャーを全力疾走で院内に運んでいった。


「患者は頭を強く打って意識不明、他に右足を骨折しています」

「わかりました」


救急隊員から患者の容態を確認して、私も続こうと思った時に後ろから腕を掴まれた。


振り返ってみると大きな人が多量の汗をかいて青くなっていた。



「あのっ・・・樹、今からどうなるんですか!?手術、するんですか!?」



かなり動揺している様子のその男性は細身だけどガッチリした体つきで、髪は茶髪で長かった。


「落ち着いてください、患者さんは今から頭のCTスキャンと骨折の応急処置をします。手術はCTスキャンの結果を見てから決めることです」


「・・・助かり、ますか?」


男性はぼろぼろと泣き出してしまった。勿論私は慌ててしまう。



「あ、あのっ、待合室にご案内いたしますっ・・・」

私がそう言うと男性はこくりと頷いた。