私が雪村さんの部屋の扉を開けた瞬間、何かがものすごい速さで私にぶつかってきた。

「きゃっ!」

私は衝撃を受けて尻餅をついてしまった。

痛むお尻を気にしつつ目を開くと、目の前には同じように尻餅をついている小柄な男の人が目に入った。


確か、晴、って人。


「っ、あっ・・・ご、ごめんなさ・・・・」


彼は慌てて立ち上がって私に手を差し伸べた。私はその好意に甘えて手につかまり立ち上がる。



「あの、どうしたんですか?」


さっきのナースコールといい、いきなりの突進といい、どうも様子がおかしい。



私が訪ねると、小柄な人は大きな目いっぱいに溜まった涙を一気に頬に伝らせた。

いきなりのことに、私と鈴木さんはビックリする。


「あ、あのっ・・・」


憧れの存在である『SHANGRI-LA』の突然の涙に鈴木さんはオロオロするばかり。


「っ・・・ごめんなさいッ!!」


小柄な人はそれだけ言って私と鈴木さんの間を風のように走り去ってしまった。


「ちょっ、晴!?」


慌てて長身の人が小柄な人を追いかけた。鈴木さんも慌ててそれを追いかける。


「あっ、廊下は走らないで下さ・・・」


そう言い終わる瞬間に私は強く腕を掴まれた、金髪の男の人だった。