「吉田先生ったら、とっても良かったわよ?優しく私に触れてくれたわ?」

「それで?」

何が言いたい?自分が悲しんでるのを見たいの?
絶対に見せないから。
あの人が、どんな風にあんたに触れたかなんて興味ないね。どうでもいいな、そんなくだらないこと。

「宮沢さん、どうして泣かないのよ?」

「泣き寝入りしたくないんでね」

泣いてすがることも、泣き落とすのも…疲れるじゃない?
全てが嫌にならなきゃ、泣いてすがったり泣き落とすなんて考えられない。

「…吉田先生にさよならしないの?」

「後でね」

持田先生がじりじりと近づいてきた。
いよいよだな。
なんか、前にも同じことがあった気がするよ。

「持田!ふざけたマネしてんなよ!」

要が叫んだ。そして、今にも殴りかかりそうな気がした。
要の腕を掴んで、後ろに下がらせた。

「任せろ、要」

ここは自分じゃなきゃダメだ。
持田先生は自分を睨み、一気に走ってきた。

「南!」

…今のは、平次?
振り返ると平次がいた。
ダメだ!今、こっちに来たら…

だんだんと近づいてくる平次。ダメ…
持田先生は気づいてないの?

頭に血が上っているのか、全く気づかない。