背中は、とてもずきずきとした。当たり前か…

「救急車呼ぶわ!」

高城君は、携帯を取り出して救急車を呼んだ。
ありがとう。

「先生…」

痛いけど、南が手を握ってくれてるから大丈夫。大丈夫だから、泣かないで?笑って。
南の頭を撫でた。それしか出来なかった。
頭がボーッとする。
南の肩を引っ張ってキスをした。
もしかしたら…出血多量で死んじゃうかもしれない。
だから、無理矢理した。

南は涙ぐんだ。悲しませてるよね、僕って本当に馬鹿だよ。涙声になりながらも南は言った。

「好き…です、大好きっ」

救急車が到着した。もうちょっと遅くても良かったかな。
そしたら、もう少し南の想いを聞けたのに。

僕は運ばれながら、南を見つめた。
唇を噛んで、必死に堪えてる…

南も救急車の中に入った。そして、僕の手を握っていてくれた。
嬉しかった。
とても嬉しかった。
力強く握ってくれる南の手。寂しそうに微笑む南に僕は笑顔でいた。

酷く悲しませたね。木田先生や高城君に宣言したはずなのに。

《絶対に泣かせない》
ダメだったね、結局。
僕のだらし無いことから傷つけて悲しませた。

僕は、そっと目を閉じた。

―南、もう悲しませないよ―

そっと心の中で決意した。